輪になって

輪になって 佇んで 待っている

島が崩れ落ちて 雨のように降ってくるのを

今とここが手をつなぎ

こことどこが手をつなぎ

どこといつからが

いつからといつもが

いつもとそれからが

それぞれ手をつなぎあって輪になって待っている

雲に覆われた街が崩れ落ちて

雨のように降ってくるのを待っている

思い出に火をつけて燃え上がらせる

石の話をした

鬼が投げた石

親戚のおじさんと

裏の納屋で


石のふもとで焚き火をした

焚き火をしたせいで石が割れた

なんでそんなところで焚き火をしようと思ったのだろう


石は畑の中にあった

畑は草だらけでもう大豆は作らなくなっていた

たまにトラクターが入るときがあって

畑が掘り返えされ

掘り返された土と

切り刻まれた草いきれの匂いで

畑が生き返ったようだった


石が割れたときは

自分でも驚くほど傷ついた

自分も一緒になって割れてしまったようだった


あの石を燃やすつもりで火を焚いたわけではないだろう

ふと 子供の頃 あの石と一緒にあそんでいたことを思い出したのかもしれない

子供の頃にはもう戻れないから 焚き火でもしてみようかと思い立ったのかもしれない


もう一度よみがえらせる

火が もう一度子供時代に火をつける

火をつけて もう一度燃え上がらせて

その火をじっと

見てみたかったのかもしれない